時効が完成する要件

文責:弁護士 石井浩一

最終更新日:2025年08月05日

1 消滅時効が完成する要件の概要

 貸金業者等からお金を借入れたものの、何らかのご事情で返済が滞ってしまうことはあります。

 その後一定の期間が経過し、かつ時効の更新や猶予がなされていなければ、返済義務は時効によって消滅します。

 借金の返済義務について、消滅時効が完成する要件は次の2つです。

 ①民法166条第1項各号の要件を満たしていること

 ②民法147条以降に定められた消滅時効の完成猶予及び更新事由がないこと

 以下、それぞれについて詳しく説明します。

2 民法166条第1項各号の要件を満たす

 民法第166条によれば、①債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、または②権利を行使することができる時から10年間行使しないときに、債権(債務者の方から見た債務)は時効によって消滅するとされています。

 貸金業者等からの借入れに関しては通常①が適用され、実務上は返済期限から5年間が経過した場合に消滅時効が完成します。

 なお、令和2年4月の民法改正前に生じた債務のうち、一部のものについては、消滅時効が完成するまでの期間は10年間となります。

3 民法147条以降に定められた消滅時効の完成猶予及び更新事由がないこと

 一定の事由が存在する場合、消滅時効の完成が猶予されることや、改めて5年間のカウントが開始されることがあります。

 これらの事由はいくつもありますが、貸金業者等からの借入れとの関係において実務上多く見受けられるものは次のとおりです。

 まず、確定判決や確定判決と同一の効力を有するもの(裁判上の和解や、確定した支払督促など。)によって権利が確定した場合には、その日から新たに時効の進行が開始されます。

 この場合、消滅時効の期間は10年に延長されます(ただし、確定した支払督促については裁判例の判断が割れています。)。

 強制執行が行われた場合にも、強制執行終了時から新たに時効の進行が開始されます。

 また、少額でも一部返済をした場合や、債務が存在することを認める書面を差し入れた場合にも、その時から新たに時効が進行します。

 訴訟の提起、支払督促の申立て、強制執行の開始があった場合、これらが終了するまでは消滅時効は完成しません。

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